タイトル 作詞/作曲 完成日 初演日
「渋谷のピエロ」 松田 亜世 1999.11.5 1999.11.11

 この曲は、ある新聞の記事から生まれた。その記事には”プチ家出”なるものが紹介されていたのだ。そこから、大胆にも援助交際にまでイメージを広げて、この曲はできた。
 「渋谷のピエロ」とは、彼女達の外見だけでなく、そんな彼女達が、今のこの国の社会をおどけながら、代弁しているように思えたから”ピエロ”となずけさせていただいたのです。
 僕も、渋谷には良く立ち寄るのだけれども、先ほどの記事を読んで、いろいろと考えるうちに、僕と同世代の彼女達を、とっても身近に感じるようになったのです。だから、本当に”お前だけが罪じゃない”って歌ったんです。

 近頃、少年犯罪がはびこっているけれども(昨日もバスジャック事件があったよね。)、その裏側を考えなくっちゃいけないんだよね。僕のお袋なんかは、「親が悪い」なんて言ってるけれども、家族、地域、国・・・、ここで一度深く考えてみなきゃいけないんだろうと思うんです。

「少年X」 松田 亜世 2000.5.5 2000.5.31

 「渋谷のピエロ」の解説でも書いたことなのですが、今、この国で起こっている少年犯罪のことを最近考えていたんです。「何かおかしい」とみんなが思っていますよね。バスジャックにしろ、老人殺害にしろ、こんなニュースがあたりまえになったんじゃヤバイですよね。
 しかし、よく考えてみると、誰しもが一連の少年達になる可能性があるってことじゃないでしょうか。マスコミの報道を見てると、犯罪の奥にはイジメや家庭環境、競争社会のひずみなどが潜んでいるようです。例えば、イジメをとってみれば、正直なところ、小学校低学年の時に僕も加害者だった事があったし、中学校の時にはそんな噂があったにもかかわらず、何もしてあげられなかったことがあったり・・・。
 考えれば考えるほど、そんなに無関係に思えなくなったんです。それで今、歌わなきゃいけない唄としてこの「少年X」を書いたんです。
 僕が今思う事は、家族なり、友人なり、教師なりがその少年の声を聞き、それをしっかり受け止める事がまず大切だということです。きっとそこから始まるんだと思います。
 これだけの情報化社会・・・。何もかもボーダレスの中で、それでも少年を少年として受け止める事、大事だと思うんです。もしかしたら、あなたの少年は「助けてくれ」と必死になって叫んでいるかもしれません。
 まずは、包み込む事、それが必要なのではないかという気がしています。

                  * 松田亜世3rdデモテープ「青の時代」にLIVE音源収録 *

「新宿三丁目」 松田 亜世 2006. 4.23 2006. 5.12

 新宿伊勢丹から明治通りを挟んで路地を二つ入ると突如現れる江戸の寄席小屋の雰囲気を留める新宿三丁目・末廣亭。そして、その寄席を舞台に活躍する漫才師がいる。その名はロケット団

 音楽ライブと共にお笑いライブも頻繁だった吉祥寺のライブハウスBe・Pointで初めて出会ったのは何年前だろうか。いつしか仲良くお酒も飲むようになり、ロケット団定例集会のゲストに呼んでもらってビートたけしさんの『浅草キッド』を歌わせて頂いたのが更なるご縁で、「一曲創ってよ」ってな話から始まったのがこの歌。お話をもらった翌々日にはこの歌が書き上がっていた。何度も拝見したお二人のステージから、そして日常から、僕が感じた漫才師・ロケット団のパワーに一気に書かされたという気がする。

 ”まっすぐ生きること”、ともすれば気恥ずかしく感じてしまうことだけれど、カッコつけるでもカッコ悪くでもなく、ごくあたり前にまっすぐ生きる二人の姿がそこにあった。
 お二人のストーリーを歌に書き記しながら、そんな風に生きたい自分をそこに投影させていた。
 そう、この道一つの芸の道・・・。(2007.2.4記)

                   * 松田亜世ミニアルバム「がんばるまっし」[2007.3.14発売]収録曲 *

「巣立ちの唄」 松田 亜世 2001.7.13 2001.8.26

 2001年春、とうとう大学も4年になってしまった。周りには就職活動をする友達。ちょっと取り残された気分になったこともあった。
 その反面、社会に出てからの自分に疑問を持つ友も多かった。やりたいことのある奴なんて、そうたくさんいるわけじゃないことも見えてきて、思いっきり「唄」に人生を賭けている自分が恵まれていることも知った。様々なものが軋轢に見えて、「きたねぇ大人にゃなるもんか!」そう粋がってた10代の時期もあった。でも単純にそうじゃない気もしてきて・・・。
 「人生ってやつも、妥協の産物なのかなぁ。」そう考えてみたりした。
 なんだか虚しい空気が流れてたんだな、この春ってのは。
 そんな時、素敵な大人との出会いがあったのだ。そしてこのサビが生まれた。「大人になるのも悪くない」そう思えたとき、妙に気分がすっきりしたものだ。時々僕は、自分の唄に救われる。

 まだまだ長いのだよ。

                    * 松田亜世自主制作CD「いつの日か」収録曲 *

                         ©2000-2007 Asei Matsuda