2023ライブレポートへ                                

2021年ライブレポートへ



松田亜世ライブレポート
2022年



 ライブに寄せられたファンの声は・・・こちら

日時/会場 演目 (Set List) レポート
2022.10.30
松田亜世
ワンマンライブ

at
京都祇園
EN-LAB.


【晴】
<Stage1>
1.柳は緑花は紅(with彌名子)
2.骸骨の唄(with彌名子&一海)
3.Being(with彌名子)
4.鳥越にて(with彌名子)
5.一期一会(バンド)
6.鏡(バンド)
7.いま・ここ・わたし(バンド)
8.Live House Dream(バンド)
9.ひろみ湯(バンド)

 〜お仲入り〜

<Stage2>
1.夜明けのバラード(with彌名子)
2.我は自由の境地なり(with彌名子)
3.去・来・現〜Ko・Rai・Gen〜(バンド)
4.8月の空(バンド)
5.泣きたいときは泣けばいい(バンド)
6.坂の途中(バンド)
7.シャッター通りのアーケード(バンド)
8.アメ玉(バンド)

<アンコール>
1.0(withサントリィ坂本)
2.君の待つ海(バンド)



《サポートミュージシャン》
Piano&Keyboards&Chorus:サントリィ坂本

Bass谷口守
Percussions:安部徹
Chorus&鍵盤ハーモニカ&Percussions: 望月彌名子
Chorus&KAZOO:望月一海


 気がつけば、4年ぶりの京都でのライブ。4年前のライブの時にはお腹の中にいた下の子がもう3歳。機嫌がよければステージにも登場するかもしれません(笑)。
 さて、今宵は東京から素敵なミュージシャンをお迎えしています。15年に渡って僕のライブをサポートしてくださっているサントリィ坂本さん。僕の音楽プロデューサーでもある安部徹さん。そして、ご一緒するのは実に12年ぶりの谷口守さん。今宵は偶然が重なり、豪華なメンバーでお届けできることになりました。
 時代は迷いのただ中。私たちはどこからやってきて、どこへゆくのか…。そんな哲学的命題を真正面から掲げたくなったりします。表現者は「時代のカナリア」、まだ叫び声を上げることが許される世の中であるならば、全身で時代の匂いを嗅ぎながら、歌に正直でありたいと思います。
 どんな時代であっても変わらないのは、悲しきかな、人間の「愚かさ」。あれ程痛めつけられてなお、また戦争を正当化するようなあり様です。バカな人間として生きる「恥ずかしさ」に真向かいになってみれば、もしかしたら見えてくる世界があるのかもしれない、そんなことを思います。
 今宵も人間であることを誤魔化さず歌えたらと思います。伝えたい歌が今、ここにあります。
             〜 秋空や故郷へ続く線路道 〜
ワンマンライブパンフレットより


 海外の方も含め、観光客もかなり戻り始めた京都の秋。4年ぶりの京都でのワンマンライブを開催することになりました。お馴染みサントリィ坂本さんが、私用で京都に来られることになり、「ライブする?」ってな話になって、京都と東京を往復している谷口守さんも「ちょうど京都にいるよ」となり、決まった今回のライブ。谷口さんにベースを弾いていただけるのなら、リズム隊のカホンもやっぱり欲しいよね〜ってことで、パーカッションの安部さんにも東京から京都にお越しいただくことになり、こうして豪華メンバーによる京都ライブが実現したのです。という訳で、サポートメンバーはベテランミュージシャンが並び、松田亜世ファミリーバンドも加わっての賑やかなステージ。

 今回会場となったライブハウスは、インターネット配信の設備も整っているということで、松田亜世としては初の試みとしてインターネットでのライブ配信も行うことになりました。4台のカメラによる映像で、なかなかライブ感のある配信になったのではないかと思います。


 セットリストは、この夏の西荻窪Terraでのライブの流れがよかったので、その流れをベースにしながら、少し曲を入れ替えての組み立てとなりました。今回は、望月彌名子の出番も多く、前半の弾き語りコーナーは全曲に渡って鍵盤ハーモニカやパーカッションとコーラスで参加。松田亜世の完全一人での弾き語りがないライブというのは、もしかしたら初めてかもしれません。娘の一海もコーラスに加わっての『骸骨の唄』は、今回アレンジを少し変えて演奏しました。(アルバム『0』収録バージョンと、ここ最近演奏していたレゲエアレンジに続いて3パターン目のアレンジです)

 そして、『一期一会』からは豪華メンバーの登場。ベースの谷口守さんとは、T.I.S(谷口守・稲葉智・サントリィ坂本の3人ユニット)ツアーの大阪公演にゲストで呼んでいただいて以来12年ぶりの共演となりました。お馴染みレフティのベース。ベースラインもかっこよくて、リハーサルの時からゾクゾクする感じを味わいました。サントリィ坂本さんもピアノとキーボードを曲によって音色を変えながら世界観をつくってくださいました。『鏡』、『いま・ここ・わたし』とメッセージソングが続き、『Live House Dream』と『ひろみ湯』の手拍子で会場も温かくなったところでお仲入り休憩。


 後半戦は、彌名子のコーラスとともに、自分が死ぬときのことを身勝手に歌ったラブソング・『夜明けのバラード』からスタートしました。女声コーラスが入ることで、この曲の世界が完成したような、そんな感じもありました。「ウクライナにならないように武器を持とう!じゃくて、日本もプーチンのような人が出るかもしれんぞということで考えていかなきゃならない」と、被害者になることは辛うじて想像できても、自分が加害者になることは想像すらできない人間のあり方、ワイドショー的テレビに向けたメッセージソング『我は自由の境地なり』をレゲエ調アレンジで彌名子の鍵盤ハーモニカとともに。

 『去・来・現〜Ko・Rai・Gen〜』からは再びバンドで。『8月の空』、『泣きたいときは泣けばいい』、『坂の途中』とメッセージソングが続きます。『シャッター通りのアーケード』では一海のコーラス、『アメ玉』では同じくカズーも加わっての演奏となりました。


 大きな手拍子でアンコールをいただき、まずはサントリィ坂本さんに登場願って、ピアノを伴奏に『0』を歌わせていただきました。私は日本人だという風に生きているけれど、果たして「国」というものが、そこまでしがみつくべきものなんだろうか?そこを超えていかないと戦争もなくならず、僕たちは破滅の道に向かうだけではなかろうか、そんなことも感じます。

 ラストは『君の待つ海』をフルメンバーで歌わせていただきました。サポートメンバーは長年の気心の知れたミュージシャン同士、そんなステキな先輩方のサウンドに支えられての演奏は最高です!!

 ライブは楽しい!!音楽があるからこうして生きていける、そんなことを思ったりしました。ステキな先輩方と、大切なご縁を重ねて足を運んでくださったお客さん、本当にありがとうございました!!(今回は金沢から駆けつけてくれた友人もいて、それは嬉しい出来事でした。)

 こうして今年のワンマンライブは、東京・金沢・京都の3都市で4回開くことができました。昨年はコロナの影響で東京での1本しかライブができなかったことを思えば、会場での感染対策ということはあるにしろ、ほぼ通常に戻ってきた感じもします。やっぱり「ライブハウス」という距離で、お客さんと同じ時間を過ごせるというのは、何物にも代えがたいものがあります。感染対策に協力をいただきながら、足をお運びいただいた皆さんに、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました!!

 お互い、命あればまた是非お会いしましょう。

 次は年明けの東京です。歌いますよ!!



2022.7.16
松田亜世
ワンマンライブ

at
西荻窪
Terra


【曇時々雨】
<Stage1>
1.柳は緑花は紅(with彌名子)
2.骸骨の唄(with彌名子&一海)
3.鳥越にて(with彌名子)
4.盂蘭盆会(バンド)
5.去・来・現〜Ko・Rai・Gen〜(バンド)
6.いま・ここ・わたし(バンド)
7.Live House Dream(バンド)
8.天漢(バンド)

 〜お仲入り〜

<Stage2>
1.我は自由の境地なり(弾き語り)
2.Being(with彌名子)
3.夜明けのバラード(弾き語り)
4.8月の空(バンド)
5.泣きたいときは泣けばいい(バンド)
6.犬が西向きゃ尾は東(バンド)
7.坂の途中(バンド)
8.シャッター通りのアーケード(バンド)
9.ひろみ湯(バンド)

<アンコール>
1.0(バンド)
2.君の待つ海(バンド)



《サポートミュージシャン》
Piano&Keyboards&Chorus:サントリィ坂本

Violin多ヶ谷樹
Percussions:安部徹
Bass:山西宏樹
Chorus: 望月彌名子&一海&海度


 時代が確かに動き始めている気配を感じます。それも自分の価値観の軸でいえば、明らかに悪い方向へと…。
 表現者は「時代のカナリア」と言われることがあります。カナリアにとっては、はた迷惑な話かもしれませんが、時代の変化を嗅ぎ分けながら「ちょっと待った!私はここにいるぞ」と、声を上げざるを得ないものがあるならば、僕はやはり「時代のカナリア」でありたいと思います。そして、まだ叫び声を上げることが許される世の中であるならば、そう歌い続けたいと思います。いや、たとえそれが許されない時代が到来したとしても、歌には正直でありたいと思っています。
 人間はどこまでも「愚か」です。悲惨な経験を経てもなお、戦争を繰り返すこと一つとってみても、何一つ歴史に学ぶことなどできないのがまた人間です。国って一体何だろうと、最近よく考えています。歴史は「国」という概念に都合よく彩られてしまうこともありますが、素っ裸の人間の歴史にまで立ち返ってみれば、罪を作り続け、愚かさをさらけ出し続けて生きている人間としての自分の「恥ずかしさ」に思い至りました。そんな人間は紛れもなくこの私です。
 今宵も人間であることに正直に歌うことができたらと思います。伝えたい歌がここにあります。
           〜 子と歩く雨上がりの夜月涼し 〜
                         2022年7月16日 松田亜世
ワンマンライブパンフレットより


 1月以来半年ぶりの東京ライブ。ライブのペースとしてはコロナ以前と同じペースで東京に帰ってくることができました。感染対策にご協力をいただきながらという状況は変わりませんが、まずは皆さんとこうしてライブという生の場所でお会いできるようになったこと、何よりも嬉しいことです。

 そんな想いを車に積み込んで、真夏の東京に今年も帰ってきました。1年前はオリンピックの直前、かつ緊急事態宣言下の東京でのライブでした。相当の覚悟をもって上京したことを思い出してみると、なんとなく雰囲気は変わってきたなぁという気もします。そんなことを考えながら車は順調に東京インターまで。しかし、ここから環八の大渋滞に巻き込まれ、リハーサル開始予定時刻に遅刻。メンバーに先に準備をしてもらってのギリギリの進行で何とか開場時間に間に合わせることができました。開場時間ギリギリまでリハーサルで歌っていたことで、喉がいい具合に温まって、本番での声の出方がいつもよりいい感じだったのは、棚からぼたもち(笑)。


 さて、ライブは彌名子のギロとともにレゲエ風の『柳は緑花は紅』から幕開け。『骸骨の唄』には娘の一海も参加。今年の1月の東京ライブでステージデビューして以降、だんだんと度胸もついてきたようです。彌名子のコーラスでの加賀の一向一揆『鳥越にて』、バイオリンとベースが入っての『盂蘭盆会』に続いて『去・来・現〜Ko・Rai・Gen〜』からはフルバンド。やっぱり音楽はいいわ!、そんなことを思う瞬間です。

 続いて、『いま・ここ・わたし』は、ピアノからはじまる新しいアレンジで演奏。

 実は、この日のライブのリハを終えての楽屋にて、いつもライブに足を運んでくださっていたお客さんが亡くなったとの知らせを受け取っていました。ライブにお越しいただくと、両手いっぱいの崎陽軒のシューマイをメンバーやスタッフの分も含めて楽屋に差し入れてくださっていました。この日のライブは大阪に行く用があってどうしても行けないのでということで、事前に宅急便で差し入れを送ってくださっていたのです。お礼の電話をすると「そろそろ新曲聴ける頃かなぁと思って楽しみにしてたんですけど、どうしても行けないので、1月をまた楽しみにしてます」と語ってくださったのが最後になってしまいました。そして、まさにこのライブ当日、旅先で命を終えていかれました。この『いま・ここ・わたし』を歌いながら、そのお客さんがいつものように客席で温かく見守っていてくださっているような気がして、この日のステージは最後の最後までそんなような感覚があって、心から感謝の気持ちを込めて歌わせていただいた一夜でありました。
今宵もゴキゲンなバンドメンバーとともに

 歌えることの感謝を込めて『Live House Dream』。7月ということで、天の川をテーマにした『天漢』を久しぶりに歌わせていただいて前半を終えました。


 後半は、この国のジャーナリズムの危機感から、政治の話を交えながら『我は自由の境地なり』を弾き語りで歌わせていただくことからスタートしました。彌名子のコーラスとともに『Being』。『夜明けのバラード』は、たった一人での弾き語りで。

 昨年の夏に書き上げた『8月の空』からは再びバンドのメンバーと演奏させていただきました。ウクライナの戦争がはじまり、繰り返される人間の悲しい正義の戦い。戦争は「一人の命」を「数字の死」によって覆い隠しながら今日も続いています。

 『泣きたいときは泣けばいい』を挟んで、『犬が西向きゃ尾は東』、『坂の途中』と、お馴染みの曲が続きます。
『シャッター通りのアーケード』のサビの動画

 その後、ステージ上に望月彌名子・一海を迎え、3歳の息子・海度も「一緒に出る」と言いながらステージに登場。『シャッター通りのアーケード』は、松田亜世家族一座も加えたフルメンバーで演奏。息子の登場は想定外の出来事でしたが、手渡されたギロをチャカチャカしながらの記念すべき初ステージとなりました。

 娘の一海も「アーケード♪」のコーラスをマイクでしっかり歌ってくれていました。これからも家族一座をどうぞよろしくお願いします。一海にはお客さんから花束をいただく一幕も。こうして、音楽の楽しさを大事に生きていってくれたらいいなぁなんてことを思ったりします。

 そんな訳で、ステージに沢山のメンバーが乗って、賑やかにお送りした、昭和の商店街を描いた『シャッター通りのアーケード』に続いては、一海とのダブルカズーも交えた昭和の銭湯『ひろみ湯』。会場の手拍子を交えて本編は終了。


 アンコールは『0』。

 「国」って一体何なんだろう?と、ロシアとウクライナの戦争がはじまってから、考えています。そんなことを語りながら、人間の愚かさから目をそらさず、歌いたいとの想いをあらたに『0』を歌わせていただきました。
一海とのダブルカズーでの『ひろみ湯』

 そしてアンコールはもう一曲、『君の待つ海』を会場の皆さんの手拍子とともにお送りしました。

 音楽って最高です。ゴキゲンなミュージシャンと、僕らの演奏を温かく見守ってくださるお客さん、その場を整えてくれるライブハウスのスタッフの皆さん、こうしてライブは続きます。ライブハウスがここにある、やっぱりライブハウスは僕のホームグラウンドです。

 次回は来年の1月。新曲とともに帰ってきたいと思います。

 今宵も沢山の「ありがとう」を感じました。またいのちあれば、きっと必ずお会いしましょう!!



2022.4.29
松田亜世
ワンマンライブ

at
金沢
もっきりや

【曇時々雨】
<Stage1>
1.柳は緑花は紅
2.骸骨の唄
3.鳥越にて
4.がんばるまっし
5.廓唄
6.去・来・現〜Ko・Rai・Gen〜
7.いま・ここ・わたし
8.Live House Dream

 〜お仲入り〜

<Stage2>
1.新宿三丁目
2.瞳を閉じて...
3.8月の空
4.泣きたいときは泣けばいい
5.犬が西向きゃ尾は東
6.坂の途中
7.シャッター通りのアーケード
8.アメ玉

<アンコール>
1.0
2.ひろみ湯



《サポートミュージシャン》
Piano&Accordion&Chorus:
栗田佳奈子
Chorus&Percussions: 望月彌名子
Chorus: 望月一海 ※Stage1-M2、Stage2-M7


 2年ぶりの故郷・金沢、もっきりやさんでのライブです。人間が生きていく上での“ままならなさ”は、なにもコロナで始まった訳ではないのですが、「次に会えるのは?次に歌えるのは?」と、歌える場そのもののありがたさをあらためて感じたこの2年間でした。
 そして、次の瞬間終わるともしれないこの命の中で、「歌よ、のこれ!」との思いを抱くようになったのも、ここ数年の心境の変化でした。新しい曲を書く中で、「これが生涯最後の歌になるかもしれない」とまじめに考えるようにもなりました。それは、二人の子どもとの暮らしが影響しているのかもしれません。自作自演にこだわり、“世代を超えたフォークな世界”などと自己紹介をしてきましたが、“世代を超える”とは、人間を貫く“何か”を歌うことに他ならないことにようやく気づいた気がします。そして今、戦争を繰り返す人間の“愚かさ”に溜息が出ると共に、戦争を繰り返す人間の自己中心的な本質を掘り下げることでしか、それを超える世界はないのだと信じます。
 さて、今夜もここにたった一つのドラマが幕を開けます。数々の物語を刻んだ時代・「昭和」という名を冠した今日この日、皆さん一人一人の「今」がここに輝きますように…。
 故郷のミュージシャンのサポートとともに、どうぞ最後までごゆっくりとお楽しみください。
          〜 散りゆきてまた散りゆくも花は花 〜
                          2022年4月29日 松田亜世 
ワンマンライブパンフレットより


 2年ぶりの金沢・もっきりやさんでのワンマンライブ。前回もコロナの中でのライブでした。あれから2年、マスク生活にも随分慣れてしまったり、自分自身もコロナにかかったり…。まだまだコロナ前と同じとはいえないけれども、こうしてライブも再開できていることは、本当にありがたいことだなぁと思います。不自由さの中で、歌うことの慶びが増した、そんな気もします。


 故郷・金沢でのライブは、僕の中で特別な時間です。この日も近くのコインパーキングに車を停めて機材を降ろしていると、もっきりやさんのすぐ傍でお好み焼き屋をしている幼馴染が「ライブ、がんばれや」と声をかけてきてくれたり。客席に足を運んでくれる幼馴染の顔も嬉しいもんです。

 そんな金沢でのライブ。今回も高校の後輩の地元ミュージシャン・栗田佳奈子ちゃんが手伝ってくれました。ライブの前、彼女のFacebookにて高校時代の想い出(佳奈ちゃんと僕は、金沢泉丘高校応援団に共に在籍していました)と共に、「違う場所でさまざまな人生を歩む中で、こうしてまた同じステージに立てることは奇跡かもしれません。まず元気にいられた事に感謝。音を奏でられる事にも感謝。そんな感慨深いステージを自分でも心待ちにしております!」とコメントを綴ってくれていました。お互いに高校を卒業して東京に出て、東京で再会してワンマンライブのサポートをしてくれたり、その後しばらくご無沙汰していたところで、再び地元でこうして一緒に音楽ができる。あらためて、人生は不思議で楽しいもんだなぁと思います。
娘もコーラスで参加


 さて、ライブは望月彌名子のコーラスとギロとの『柳は緑花は紅』からスタート。『骸骨の唄』では、娘の一海がコーラスで参加してくれました。久しぶりに歌う『鳥越にて』は彌名子のコーラスと共に。『がんばるまっし』は弾き語りソロ。故郷をテーマにした曲が続く中、『廓唄』から栗田佳奈子が登場。まずはアコーディオンで、東の廓と金沢の情景を描いてくれました。

 『去・来・現〜Ko・Rai・Gen〜』でも陽気なアコーディオンの音色を奏でてくれました。『いま・ここ・わたし』は、佳奈ちゃんのピアノをフューチャーしたアレンジで歌わせていただきました。歌のテーマと相まって、今、ここで「音」を介して生きることを確かめる、そんな時間になりました。そういうことがライブという空間の醍醐味でもあるなぁと思います。前半ラストは『Live House Dream』。金沢の街の空気を全身で味わいながらのもっきりやさんでのライブは、やっぱり最高です!!

 会場の雰囲気もとっても温かくて、めちゃくちゃよく喋ったライブでもありました。前半曲だけなら45分位なのですが、1時間を優に超える展開に…。おじさんになると話が長くなるようです(笑)。


ピアノは栗田佳奈子
 お仲入りの休憩を挟んでは、50回毎月ワンマンライブをさせていただいた東京は吉祥寺のライブハウスの想い出を語りながらの『新宿三丁目』を佳奈ちゃんのピアノで歌わせていただきました。オシャレなピアノのサウンドで、いつもと違った雰囲気での『新宿三丁目』となりました。

この日のメンバー勢ぞろいでの『シャッター通りのアーケード』
 ピアノとの『瞳を閉じて...』を挟んで、平和への思いを込めた『8月の空』もピアノと共に。『泣きたいときは泣けばいい』はアコーディオンと。アコーディオンの音色がこの曲の世界観になんとも温かく絡んでいく感じが素敵でした。続いては、ライブでは3年ぶりに歌った『犬が西向きゃ尾は東』。お馴染み『坂の途中』と続き、再び望月彌名子と一海もステージに迎えての『シャッター通りのアーケード』。この歌で描いた松任大町商店街にあったお袋の実家も人手に渡ることになり、懐かしさとちょっぴり淋しさと感謝の気持ちで歌わせてもらいました。

 昭和の日のライブということで、僕が幼年時代を過ごした昭和を歌った『シャッター通りのアーケード』から『アメ玉』へと”昭和”を歌った歌で本編を締めくくりました。街はどんどん変わっていきますが、そこに生きる人にスポットを当てて歌い続けたいなぁ、そんなことを思いました。


 アンコールではまず、小学校6年生の時に姉妹都市交流で訪れたソ連のことや、そこから続くシベリアのロシア人の友人との交流の話を交えながら、このウクライナ戦争の状況の中で「故郷は大好きだけれど、国って概念をもっと疑っていいんじゃないか?」と『0』を歌わせていただきました。今を確かめながら、「歌は力なり」、そう思いを新たにしました。これからも一瞬一瞬、一生懸命歌って生きたいと思います。

 そしてラストは、地元も地元のご当地ソング『ひろみ湯』で故郷金沢ライブを締めくくりました。


 この日の温かなもっきりやさんの空気感は、今もしっかりと肌に残っている感覚があります。

 また会いましょう!!金沢、最高です。あんやとう。



2022.1.8
松田亜世
新春ワンマンライブ

at
西荻窪
Terra


【晴】
<Stage1>
1.柳は緑花は紅
2.海度
3.骸骨の唄
4.去・来・現〜Ko・Rai・Gen〜(バンド)
5.いま・ここ・わたし(バンド)
6.0(バンド)
7.Live House Dream(バンド)
8.月(バンド)

 〜お仲入り〜

<Stage2>
1.新宿三丁目(ピアノ弾き語り&バンド)
2.瞳を閉じて...(バンド)
3.8月の空(新曲・バンド)
4.泣きたいときは泣けばいい(バンド)
5.一つの海(バンド)
6.坂の途中(バンド)
7.シャッター通りのアーケード(新曲・バンド)
8.アメ玉(バンド)

<アンコール>
1.想ひ出雪(バンド)
2.ひろみ湯(バンド)



《サポートミュージシャン》
Piano&Keyboards&Chorus:サントリィ坂本
Violin多ヶ谷樹
Percussions:安部徹
Bass:山西宏樹
Chorus: 望月彌名子&一海 ※Stage2-M7



 1年半ぶりに東京の皆さんの前で歌うことができた昨年7月のライブから半年。再び西荻窪Terraに帰ってくることができました。「明日のことはわからない」(『犬が西向きゃ尾は東』)と歌いながら、そのことをまさに実感させられ続ける今日この頃です。歌えることの慶び、そしてこの一瞬の今こそ輝く、ライブという生命体。

 「確かなことは 不確かな今を確かめ生きること」(同曲)。僕にとって、いや人間の営みにとって“ライブ”という時と場が必要なのは、そんな「今」を確かに確かめることができるからかもしれません。

 「同じ歌を歌ってみても毎晩違って 人生に同じドラマが一つもないように」(『Live House Dream』)。今夜もここにたった一つのドラマが幕を開けます。2022年、皆さん一人一人の「今」が輝きますように…。

 本日も感染対策にご協力を賜り、誠にありがとうございます。ごゆっくりとお楽しみください。

     〜 踏みしめて噛みしめてゐる淑気(しゅくき)かな 〜

                          2022年1月8日 松田亜世
ワンマンライブパンフレットより

 前回の西荻窪Terraでのワンマンライブから半年。予定はしていたものの、新型コロナウイルス感染症の感染状況が日々変化し、予定通り開催できるのだろうか?、去年の正月のライブのように延長しなければならない状況にならないだろうか?、お客さんは来てくださるのだろうか?との不安が直前まで続きました。

 しかし、何とか2022年一発目のワンマンライブは、無事に開催の運びとなりました。前回のライブに比べるとお客さんも戻ってきてくださった感じもあり、お店でのアルコールの提供もはじまり、マスクと消毒と距離という基本的な感染対策を取りながら、ステージ構成もほぼコロナ前と同じ状態で開催することができました。


 1曲目は、『柳は緑花は紅』から。今回の1stステージは、人間存在の尊さが一つのテーマとなり、構成を考えました。『海度』、『骸骨の唄』と3曲は弾き語り。コロナ対策での『骸骨の唄』のハミングによるコール&レスポンスもコロナ3年目にもなると、これはこれで形になってきたなという感じもあります。できることをできる範囲でやり、その時考えうる最高のライブをやるしかないなと思います。お客さんのハミングに包まれながら、それぞれの「今」を感じられたことが嬉しかったです。

 
1stステージの様子。スニーカーは金。
バンドメンバーを呼び込んでは、軽快なアレンジのナンバーとなった『去・来・現〜Ko・Rai・Gen〜』から。ここからはバンドでの演奏が続きます。フルメンバーでのライブは前回に引き続いてのことですが、なかなか会うことができなかった中、こうしてステージ上で音を重ねられることの幸せを全身で感じながら歌わせていただきました。『いま・ここ・わたし』、『0』と続き、『Live House Dream』では、ライブハウスで歌える喜びを噛みしめながら。スタッフ、ミュージシャン、そしてお客さんで創り上げる飛び切り上等のひと時、それがやはりライブという空間なんだなと思います。

 前半最後は、久しぶりに歌う『月』。月の柔らかな光が、僕たち一人一人の存在をしっかりと包み込んでくれているような気がします。


 仲入りの休憩を挟んでは、ピアノの弾き語りから。前回昨年7月のライブでは、感染対策の意味も含めて、起承転結の4ステージ制だったので、お馴染みの2ステージの構成は、「ああ、ライブに戻って来たなぁ」という感じを持ちました。

ピアノで歌った『新宿三丁目』。スニーカーは銀。
 お正月ということで、ステージ上のスニーカーも前半金色、後半銀色と金銀で履き替えてみました。仲入り後のステージに上がると、お客さんから「スニーカー替わった!」との声が。細かなことにも気づいていただけると非常に嬉しいものでした。さて、後半のスタートは『新宿三丁目』をピアノの弾き語りにパーカッションとベースのサポートで歌わせていただきました。いつもはギターを持って歌っている曲ですが、今回はピアノでの弾き語りに挑戦。

 『新宿三丁目』は、寄席で活躍する漫才師・ロケット団のお二人をモチーフにした曲。昨年は、柳家小三治師匠、三遊亭圓丈師匠が亡くなったり、僕が寄席に通っていた頃によく観た色物さんも何人も亡くなったり、昭和・平成の演芸の時代がまた一つ過ぎゆく淋しさも感じていて、そのことに思いを寄せながらピアノを弾いて歌わせていただきました。吉祥寺のライブハウスで出あった昭和の演芸の想い出も語りながら…。Netflixでビートたけしさんの「浅草キッド」が人気ですが、ご縁もあって、前田隣師匠はじめ、昭和のあの時代の空気をまさに生きた方に、ほんの少しでもリアルに触れられたことをあらためて大切に思いました。

 再びフルメンバーをステージに迎えて『瞳を閉じて...』。最初のミニアルバム『がんばるまっし』のこの曲のレコーディングでサントリィ坂本さんに出あったこと、多ヶ谷さんとも同時期に『廓唄』のレコーディングで出あったこと、山さん、安部さんとの出あいの話も交えながら、「あれからもう17年経ったんだなぁ」という、感慨深いものを感じながら歌わせていただきました。
『0』を熱唱。

 今回のライブは、新曲もバンドで演奏。

 まずは『8月の空』。戦争で何百万人亡くなったというけれど、そこには一人一人の命が失われたということがあって、一つ一つのかけがえのない人生の物語がある、そのことをしっかりと歌い継いでいきたいと思います。前回のライブで初めてバンドで演奏した『泣きたいときは泣けばいい』から、『一つの海』、『坂の途中』とステージは進行。

はじめての親子共演!
 バブル時代の想い出を語ったMCに続いては、これまた新曲の『シャッター通りのアーケード』。コーラスには、娘の一海と、久しぶりの共演となる連れ合いの望月彌名子もステージへ。当初この共演は予定にはなかったのですが、リハーサルの時に「せっかくなら歌いなよ」とのメンバーからの声を受けて、はじめての親子共演。一海にとっては8歳で記念すべきライブハウスでの初舞台を踏むことになったのです。(ちなみに、次回以降もまたステージに立ちたいと言っていますので、これからは正式メンバーとして、引き続きよろしくお願いいたします。)

 『シャッター通りのアーケード』に続いて本編ラストは『アメ玉』。19歳の時に書いた、昭和をテーマにした最初の曲。もう20年以上も歌っている歌です。『シャッター通りのアーケード』からは、会場からの手拍子もいただきながら、アンコールを迎えました。

アンコールの様子。

 アンコールでは、冬の季節にちなんで『想ひ出雪』。最後は、「こんなに温かいお客さんの前で歌えて幸せです」と、お馴染みの『ひろみ湯』で締めくくりました。



 大変な状況の中足を運んでくださり、マスクをつけながら最後までお聴きいただいたお客さん。僕たちに歌う場所を提供し続けてくれているライブハウスとそのスタッフ、そしてステキなサウンドを奏でてくれたミュージシャン、すべての皆さんに心から感謝します。

 まだまだ歌い続ける、そんな想いをあらたにしました。次は7月!!今年はいつものように年に2回、東京の皆さんとお会いできますように…。新しい作品への準備もはじめます。

 ぜひまたお会いしましょう!!

 ありがとうございました。



© 2000-2022 Asei Matsuda




2023年ライブレポートへ                                

2021年ライブレポートへ



目次へ